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ダルカディア 自己紹介

以下は、アルケミスタ メールマガジンに掲載した文章です(一部省略)。

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リクレアツィオン・ダルカディアの名前の由来は?

 イタリア・バロックの作曲家ビアジョ・マリーニ Biagio Marini (1594-1663)の曲名から取られたものです。その意味は「理想郷の慰み」といったところでしょうか?理想郷「アルカディア」で奏でられる、理想のバロック音楽を!というのがグループの基本理念。
 日本ではウケない名だ、といろいろな人にさんざん言われましたが、みなさん、覚えて下さいね!(毎日寝る前に、リクレアツィオン・ダルカディア、と10回唱えてください。)

グループ結成のきっかけは?

 2001年にモンテヴェルディばかりの作品を取り上げた演奏会を企画したことがあったのですが、そのときの器楽メンバーが基本になっています。松永綾子と渡邊孝は、長いことデュオや他のアンサンブルで共演していたのですが、山口幸恵と懸田貴嗣は当時古楽の世界に踏み込んでまだ間もないころでした。その時はこういったグループを作ろうという話はなかったのですが、その後、「ヘンデル・フェスティバル・ジャパン」(2003年から毎年開催)で、また4人が一緒になり、その演奏会の打ち上げだったと思うのですが、「すごくいいコンクールがあるんだけど、出ない?」とイタリアのボンポルティ国際古楽コンクールのことを渡邊から持ちかけられたのが、本当の結成のきっかけと言えるかもしれません。もちろん4人それぞれがお互いの演奏のことをとても気に入っていた、というのもこの4人が集まった理由ですが。

ボンポルティ国際古楽コンクール優勝について

審査委員長:
グスタフ・レオンハルト
審査員:
ケース・ブッケ(オランダ)
パオロ・グラッツィ(イタリア)
バルトルト・クイケン(ベルギー)
ガエタノ・ナジッロ(イタリア)
クラウディア・ルーファ(イタリア)
ベルハルト・トレブーフ(オーストリア)
副賞:
11の音楽祭への出演、ORF(オーストリア放送局)へのレコーディング

 これは今回のツアー中、イタリアの新聞にも載った今や世界的な苦労話なのですが(笑)、まず、当時アムステルダムに住んでいた松永・渡邊(現在イタリア在住)と、東京にいる山口・懸田がどうやって一緒に練習するのか、、それは最も大きな難題でした。
 10月末のコンクールに向けて、まず8月、日本に集まろう、というのがなんと最初の練習。わざわざアムステルダムから来た2人が着いたのは、言うまでもなく超猛暑シティ・東京。しかも練習場所は、上野・芸大の冷房のきかない練習室(窓もない)なのです。サウナと化した部屋の中で大量の楽譜を前にまずは1日かけて選曲、喧々諤々の議論の末にようやく曲を決定した後は、その練習。おそらく4、5日程度だったと思いますが、まさに「熱く」燃えた合宿のような練習生活でした。
 そして、2ヶ月ほど間をおいてコンクールの本番5日ほど前に山口・懸田がアムステルダム入り、3日ほど集中して練習をした後にコンクールの現地入り、となったのでした。こんなに少ない練習期間でコンクールに出たグループは他になかったのではないかと思うほどですが(笑)その限られた時間の中での集中力がいい結果を生んだのではないかと思っています。
 コンクールに出ていた他のグループには、ブリュージュ国際コンクールなどの大きいコンクールで賞をとったり、既に多くの演奏活動をしている団体が含まれていたのですが、それらを押しのけて我々が1位をいただいたことは、驚きでもあり、嬉しいことでした。
 「レオンハルトから絶賛を受ける」というチラシの文句には少々恐縮ぎみなのですが、実際彼やガエタノ・ナジッロ(イタリアで最も活躍しているバロック・チェリスト)からは、我々以外には1位は考えられなかった、というような言葉をいただいたりして、本当に嬉しい限りでした。彼らの期待を今後裏切らないためにも、純粋に音楽に向かっていかなければ、と常に思っています。

リクレアツィオン・ダルカディアのアピール・ポイントは?

 バロック期に書かれたトリオ・ソナタ、というジャンルの量は非常に膨大で、全部積み上げたら富士山121個分の高さ、と言われても信じてしまうくらい(笑、それはウソです)なのですが、通常演奏されている曲というのはその中でも本当に一握り、一つまみ程度しかないのです。トリオ・ソナタを専門的に演奏する団体というのは日本にはほとんどなく、その膨大なレパートリーの中で埋もれた名曲たちを発表する場は現 状では非常に限られているということが言えると思います。そのような演奏されることが少ない、しかし素晴らしいトリオ・ソナタに日の目を当てていくのが私達の使命ではないかと思います。
 例えば我々が12月に演奏する、オーストリアの作曲家ビーバーの「技巧的で楽しい合奏」という曲集は、全てスコルダトゥーラ(変則的な調弦)によって演奏される、非常に珍しく、民族的な舞曲を沢山含んだ、その名の通りなんといっても「楽しい」音楽なのです。本番の間に調弦を変えることは非常にリスクも伴いますから、あまり演奏されることはないのですが、それは大変もったいないことです。
 イ長調の曲はラーミーラーミ、変ホ長調の曲はシ♭-ミ♭-シ♭-ミ♭(通常のヴァイオリンの調弦はソーレーラーミ)、と調性に合わせた調弦の響きというのは、そうでなけれは絶対に味わえない、実にファンタスティックなものです!この曲集は、去年のコンクールの副賞であったORF録音賞としてレコーディングする予定で今計画を進めているところです。
 ビーバーだけでなく、今回日本では演奏しませんが、我々がイタリアで演奏したイタリアン・プログラムに含まれていたボンポルティ(1672-1749)、ロカテッリ(1713-1790)などは独自の世界をもった素晴らしいトリオ・ソナタを残していて、それらも今後日本で演奏したり、録音できたらいいと考えています。ウルビーノの演奏会を聞きにきてくれたエンリコ・ガッティが「君達はぜひロカテッリを録音しなさい。」と強く薦めてくれたこともあります。
 それからグループのキャラクター、ということで言うと、毎回コンサートの後にお客さんから言われたことは「本当に4人の音楽が合っていた」ということです。それはレオンハルトにも言われたのですが、「君達4人は、考えている音楽が本当に一致していた」ということです。それは大切なことで、いくらタテや音程が合っていても、考えている音楽の方向性が合っていなければいいアンサンブルにはなりません。今後も4人それぞれがいろいろな経験を経て変化していくでしょうが、そうしたアンサンブルの本質的な部分は保ち続けていたいと強く思っています。
                                      (2005年11月 懸田)
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by ricrearcadia | 2005-12-12 01:25 | プロフィール